アタリ、アタリの……──宇城はやひろのみことの一手!──

🎄本記事はまんがタイムきらら Advent Calendar 2016 19日目の記事です🎄

まんがタイムきらら(フォワード除く)系列の作品は多種多様ある。三者三葉のように2003年からずっと連載を続け、コミックスが12巻(2016年12月現在)を突破している作品もあれば、きわめて短期で完結している作品も多い。
この作品も1巻できれいに完結しているが、いろいろな作品があるなかでぜひ手にとって頂きたい一冊である。

宇城はやひろ『みことの一手!』。まんがタイムきららMAXに2013年7月号から2015年2月号まで、断続的に掲載されていた。作者は現在まんがタイムきらら☆マギカ誌で『暁美ほむらは明日から頑張る!』を連載しているのでよろしかったらそちらもぜひ。

みことの一手.jpg

「私の恋人は、囲碁だから………///」
(作中にもこの言葉はちゃんと出てきます)

わかりやすい帯の言葉である。囲碁を題材にした小説といえば川端康成の『名人』、漫画だったら『ヒカルの碁』などいろいろある。
この作品も囲碁愛に満ち溢れている、珠玉の逸品といえよう。

主人公の楠みことは、囲碁部に所属する高校生。素質はあり実力はあるのだが、何かが足りない。
容姿?私生活?言動?いや違う。では何が──?

いっぽう、幼馴染に鷺宮蛍というキャラクターがいる。きらら系の漫画にありがちだが、部長は主人公ではなく蛍のほうである。幼い頃はみことに負け続けだったが、自己研鑽を積み重ね腕を上げてきた。
さらに早河葵、白河文香という個性的な後輩たちもいる。

全1巻ということもあるが、あらすじをつらつらと書くとネタバレになってしまうので、何が描かれているか何が起きたかはここでは書かないが、言うなれば「雨垂れ石を穿つ」といえる(出典は『漢書』)。碁石とかけて言っているのもあるが、なぜその言葉なのか、それは本書を読んでぜひ思ってほしい。

ちなみに恥ずかしい話だが、自分は囲碁も将棋も打ったことがない。しかし臨場感あふれる舞台に接させてくれるという意味で、あたかも読者を本因坊戦の対局に引きずり込むような内容であることは過言は無い。

タイトルは適当に書いたわけではなく、みことの碁の打ち方を例えて言うならば、と真っ先に思いついた言葉である。え?お前碁を打ったことすらないだろって?すみません言ってみたかっただけなんです

みことの一手! (まんがタイムKRコミックス) -
みことの一手! (まんがタイムKRコミックス) -
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榎の木の僧正 ── あの声優についての拙文 ──

🎄本記事は声優 Advent Calendar 2016 18日目の記事です🎄

(藤原)公世という二位の位にあった人の兄で、良覚僧正という人がおり、とても腹黒い怒りっぽい人であった。
住まいの傍に、大きな榎の木があったので、人々は良覚僧正のことを「榎の木の僧正」と呼んでいた。

僧正はこの名前は自分には相応しくないといって、この木を切ってしまった。その木の根っこが残ったので、人々は「きりくひの僧正」と呼んだ(きりくひ=切り株)。相乗はますます怒って、切り株を掘り起こして捨ててしまったが、その跡が大きな池になったので、人々は僧正のことを「堀池の僧正」と呼んだ。
(『徒然草』第四十五段より)

ちなみに良覚僧正について原文は「きはめて腹あしき人」と書いているが、腹黒いという意味ではない。念のため。
まんが日本昔ばなしにもいろいろ話にアレンジを加えて「榎木の僧正」という回で放映されたことがある。堀池の僧正と呼ばれることになった良覚僧正のその後が描かれているが、要はあだ名というのはいろいろ形を変えつつもその人について回るものである、と勝手に解釈している。
あだ名は本名から付けることもあれば、身体の特徴からも付けることもあり、その人の言動から付けることもある。

2017年1月より放映のアニメ「うらら迷路帖」で、棗屋の娘ノノ役を演じる佳村はるかさんは「るるきゃん」と呼ばれているが、もともと「はるきゃん」(きゃん=キャンディー好きなことから)という愛称が付いていたのを本人が改称を提案し(るる=沼倉愛美さんらから呼ばれていた)、それが今も通用している。

※ るるきゃんについてはこの記事が詳しいです。

かと思えば、同じデレマスつながりで一人例をあげるなら、大橋彩香さんは公式では「はっしー」と呼ばれているはずなのに、以下の事件が原因で見事に「へごちん」のあだ名が定着してしまった。



さらに某掲示板では、ベイスターズの選手と似ているという理由で「筒香妹」と呼ばれる始末である。
野球の選手つながりで(本人は望んでいないのに)勝手に妹にされた方の筆頭といえばやはり「鳥谷妹」さんであろう。ファンの方がもしこの愛称に不快に思っておられるとしたら、今のうちにお詫びします。個人的には抵抗感の全くないあだ名なので(殴)

正直、「ゆゆ式」というアニメを見るまであまり評価していなかった。ゆるゆりの腹黒ピンクというイメージしかなかった。ゆるゆりでも共演した津田ネキ津田美波さんと一緒に、この人の評価が変わったのは本放送が終わったあたりだろうか。キャラの演じ方、声の出し方が何かくせに感じた。下手とかではなく非常に上手いという意味である。ゆるゆりのチーナとか戦コレの織田信長とかとは違う、素晴らしい方面で弾けた演技の個性がキャラを作っていると感じた。好きこのんで唯や縁にちょっかいを出したり、他のキャラと絡んだり、いろいろなアクションをとったりするが、本当に原作のゆゆ式のゆずこ本人じゃないかと思えるくらいそれが合っている。聴いていてだんだん、野々原ゆずこというトリックスターはこの人しかいないと思うようになった。

さて、Google先生で腹黒ピンクと検索すると──

dark_pink.jpg

さすが先生パネェっす。確かにこの人のピンク髪を演じる確率は高いが(最近だとFateのエリザベート=バートリーとか浦和の調ちゃんの沼影彩湖とか)、あんまりな予測検索である。そもそもゆゆ式のゆずこは腹黒くはないし
とはいえ、榎の木の僧正のようにあまりに腹黒ピンク役がしっくりと来るのも事実だし、もし演じたのが\アッカリ~ン/や京子の役だとしても、また違う呼称が定着したに違いない。

そんなゆゆ式一挙がニコ動で12月24日22時から開催されます
さらに来年2月22日はゆゆ式OVAが発売されるなど、本放送から4年たった作品とは思えないほど地味に展開を続けている。
ここでは詳しくは書かないが、ゆゆ式のキャラはどれをとってもいい個性を出しており、その演技を何度でも見たいと思わせてくれるのも一因と思う。
津田さんの唯、種田さんの縁も素晴らしいが、大久保瑠美さんのゆずこには2京点付けたい。

榎の木の話がいつのまにゆゆ式で終わってしまった。ゆゆ式 is GOD.(無責任なオチ)

ゆゆ式OVA (初回限定版)(仮) [Blu-ray] -
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posted by shaitama- at 21:31埼玉 ☔Comment(0)声優

まず服を脱ぎ ──はりかもの『うらら迷路帖』──

🎄本記事はうらら迷路帖 Advent Calendar 2016 2016 10日目の記事です🎄

陽明学を興した中国明代の儒学者、王陽明(王守仁、1472~1529)が説いた思想の中に「致良知」というものがある。
人間は生まれた時から心と体(理)は一致している。心が私欲により曇っていなければ、心の本来のあり方は理と一致しているため、心の本体である良知を推し進めるべきだという。
良知とは誰もが心の中にもつ先天的な道徳知であり、人間の生命力の根源でもある。「善を知り悪を知るは是れ良知なり」という通り、「致良知」、すなわち良知を最大限に発揮すべくという方法論である。

出典は忘れたが、こんな話が伝わる。王陽明のところにある男が現れて「俺の良知を見せろ」と言った。
陽明先生「まず裸になりなさい」男は言われるまま衣服を脱いだ。
陽明「その褌も脱ぎなさい」男「いやそればかりは」陽明「そうそれこそが良知だよ」

さて、脱ぐといえばまんがタイムミラクで連載中の『うらら迷路帖』である。
この作品の主人公、千矢はとにかく衣服を脱ぎたがる。

うらら迷路帖_01.jpg

連載開始3ページ目でいきなりこれである。
ある想いを秘めて、一人前の占い師「うらら」になるため動物たちと一緒に山を降り、迷路町に降り立った千矢は、(悪気は無かったとはいえ)食い逃げで大勢の売り主に追い詰められてしまう。
その時千矢が取った行動が上記のコマである。

漫画の中だからこれで済む……はずもない。
迷路町十番町警ら隊の隊長、色井佐久を前にして千矢が取った行動は……

うらら迷路帖_02.jpg

やっぱり脱いだ。

なんという痴女!」の文句は単行本1巻の初版の帯の背についていた
(らしい。私が買った時は残念ながら帯は無い状態だった)。
これがストーリーとして十分成立してしまうのが、「夜森の国のソラニ」の作者、はりかも先生の「うらら迷路帖」である。

しかし一見脱ぐといっても肝心の部分は見せない限り、千矢にも良知は備わっているといえる。全部脱ぐと『全裸.zip』になるから

うらら迷路帖のストーリーは、山育ちの千矢、真面目な紺、洋風趣味の小梅、引っ込み思案なノノの4人は、一人前の占い師「うらら」になるためノノの姉で棗屋の主人のニナに師事し修行を積んでいくという話である。

この作品、萌えが──とか百合が──とかで語られる事が多い。確かにキャラはどれも可愛いし、キャラ同士の百合描写も盛んである(例えばニナと佐久とか)。
しかし、この作品をお勧めする理由があるとすれば、その程度だけではない。

まず特異な世界観や設定、キャラを有するきららミラクにおいて(最近はきらら本誌の新規連載にもその傾向があるが)、4コマの起承転結などの構成を差し置いてストーリーを押し出していくというスタンスはこの作品も否定はできない。
ストーリーに引きずり込むための世界観がうらら迷路帖は非常に独特かつ魅力あるのである。

この記事を書いている時点で、アニメ化の詳細情報が伝わってきていると思う
(2017年1月より放映開始のわりにはかなり情報が少ない気もするが)。
正直言って、第一印象は「東方Project」だった。

和中洋入り交じるなかのオリエンタルな町並み、人、そして占い。幻想的だが俗的な要素も交えた世界観こそ、うらら迷路帖の舞台なのである。
もっとも千矢たちの武器は弾幕ごっこではなく占いではあるが。
そして様々な出来事を通じて千矢たちは色々なことを学んでいく。
いや、正直千矢に限っていえばうららとしての形式的な成長は見られないと思う。では千矢は何が成長したのか?その答えは正直わからないし、無いかもしれないが、自分なり解釈すると「占いを超越した『良知』」ではないかと思う。
もちろん服を着ることを覚えたとか紺や佐久とベタベタすることを覚えたというのではない。正確に透視し未来を予知するという占いの極意をいきなり覚えたわけでも無いと思う。
千矢の周りに不思議な事件が起きるようになる。今後続くであろう物語の伏線になるか、ただの徒花となるか。しかしおぼろげながら言えること、それは、一人前のうららを目指して無に近い自分の中の知をもって表現するなら、それは良知という言葉ではないかと。

※ あくまで個人の意見なので、まあ全然違っているかもしれませんが、そこはご容赦のほどを。

「過去には帽子を脱いで敬意を表し、未来には上着を脱いで立ち向かいなさい」 
(クレア・ブース・ルース(1903~1987、アメリカ合衆国の政治家、劇作家))
うらら迷路帖_04.jpg

うらら迷路帖 (1) (まんがタイムKRコミックス) -
うらら迷路帖 (1) (まんがタイムKRコミックス) -
posted by shaitama- at 11:15埼玉 ☔Comment(0)書籍