うらら迷路帖アンソロジーコミック──懐古と哀愁と

うらら迷路帖アンソロジーコミック (1) (まんがタイムKRコミックス)
うらら迷路帖アンソロジーコミック (1) (まんがタイムKRコミックス)


そんなこと言うなら中身が気になって仕方ないじゃないか、というわけで買って読んでみたのがこの「うらら迷路帖アンソロジーコミック」である。最近のまんがタイムkrコミックスのお約束で、「1」とナンバリングは付いているが続編は出ていない(※)

※ 辛辣な言い方だが、そもそも2巻以上出るアンソロジーの方が珍しい(ゆゆ式ですら1巻止まりですし)。

2017年2月27日、アニメ放映中に出版されたものだが、アニメでは一瞬しか出番のなかった二条臣や未登場の椿先生が登場する話もあり、原作のスピードに追いついていているのは評価できる。
当時まんがタイムきららミラクに執筆されていた先生方も多いが、まさかの大物も少なくない。ちょっと懐かしく、しかしその後のミラクの行方やうらら迷路帖の展開(2018年末現在)を思うと切なくなってしまったのが正直なところ。読んでみた感想。

カバーイラスト

「ハルチカ」のコミカライズや「ペンギン・ハイウェイ」(角川つばさ文庫版)などのイラストでお馴染みのぶーた先生によるもの。
千矢って胸大きかったっけ、と思ってしまったがとても素晴らしい表紙です。

カバーコミック

裏表紙の4コマははなこ先生。「しましまライオン」がきららミラクの休刊の少し前に2巻乙にされたのは悔やんでも悔やみ切れない。だからコミックキューン連載中の「お嬢様はアイスがお好き」がヒットしてぜひ芳文社を見返してほしい。
もし千矢が着飾ったらどうなるか、というテーマ。千矢って胸大きか(ry

表紙裏、裏表紙裏の4コマは「ミソニノミコト」やマギアレコードのWeb漫画のPAPA先生。
マツコが流行ってしまう迷路町、夢に出てきそうである。

イラスト

まず最初に篤見唯子先生の絵があり、とても尊い(スロウスタートのアニメ化決定の告知は数ヶ月後)。
他の先生方の作品もどれも甲乙つけがたく素晴らしい。

漫画

うらら戦士 魔女っ子☆プラム」…キキ先生。「ビビッド・モンスターズ・クロニクル」がきららミラクの休刊の少し前に(以下略)
小梅が異世界へ召喚される話……ではなく(夢の中で)魔女っ子として活躍しようとするが……という話。せっかくの夢が悪夢に変わってしまうのはともかく、小梅の一人称があたしでなく私になってるのが気になる。

酔っ払い大事件!」…原作では甘酒を飲んで大暴走する千矢だが、アニメでは甘酒の匂いを嗅いだためと描写がぼかされた白無垢祭り。今回はある理由で酔っ払ってしまった千矢がぽんぽこ占いという珍妙な占術を披露しようとするが、いつの間に下着祭りになっている件。こういう時のオチ担当の紺ちゃんはやはり頼もしい(色々な意味で)。

占い事情」…ミラクで「お姉ちゃん計画」をゲスト掲載、後にMAXで「みわくの魔かぞく」を連載するごぼう先生。自分を拒絶するニナに対し、佐久は困惑し憂慮し、そして禁断の闇占いに頼ってしまう。
結果としてニナとの仲は深まったのだが……慣れないお嬢様言葉でしゃべる佐久隊長に笑う。

夢のうらドルユニット!」…きららファンタジアにも「エトワリアの歌姫」というイベントで小梅がサポートした紺がアイドル活動をしていたし、この作者もしかして占い師なのかも。結局みんなの妄想は妄想で終わってしまったが、話を続けてほしかった。

迷路町の長い一日」…ニナ姉から預かった荷物をお客様に渡そうとして、間違って別の荷物を渡してしまうノノ。本来棗屋向けの荷物だったかすていらでなくなぜか中にメイド服が入っており、千矢たちはすり替わった荷物の届け先をいろいろと探すというお話。オチがある意味衝撃的だが、ニナはそのお客様の正体に気づいていない。

あんみつ大作戦!」…のちにミラクで「ドルチェ×ドルチェ♪」をゲスト掲載するおみなえし先生。甘い物が食べたいが金が無いということで、それなら作ればいいじゃないということでお菓子作りに挑む小梅たち。こういう話のオチ担当な紺ちゃんはやはり有能。

千矢としゃぼん玉」…上述の鴻巣覚先生の御作。シャボン玉に興じ童心に帰る千矢たちが描かれています。しかし尊いのは千矢と紺だけでなく、ニナと佐久もだった。うん確かに綺麗な作品だ(がんくつ荘見た後に言うな)

目指せ!一番占」…のちにミラクで「まちとびカルテット」を連載するも休載を2回もしたせいかミラク休刊の道連れにされたが、同時期に開始した「ネクストライフ」(月刊少年エース)は現在も連載中。
その市倉とかげ先生のこの作品はとても尊く面白い、まちとびカルテットを思わせる。占い研究のために町に出る千矢たち。そこで変装したつもりな佐久に出会い、ニナへの誕生日プレゼントの相談を受けるのだが──

クイズ DE うらら」…アンソロジーで必要なもの、それは原作のイメージを壊さない程度に思いっきり遊ぶ企画である。クイズ番組形式だが、クイズとは何かを全く理解していない千矢をはじめ、司会のニナたちも全員色々な方向に暴走している。いいぞもっとやれ。

棗屋の四人とひ・み・つの本」…のちにミラクで「星守様におねがいっ!」をゲスト掲載するたかしな浅妃先生。なぜ定期連載化しなかったという個人的な恨みはともかく、小梅が見つけるも高すぎて買えない占いの本に対しバイトして稼ごう(意訳)という千矢。こういう時の紺は有能(さっきも書いたが)。非常にいい話だったし、またきららに戻ってきてくれませんかねえ。

うららか桃日和」…登場人物が昔話の桃太郎になりきったお話。猿になりきる小梅が不憫(でもアニマエール!にも幼馴染に森の賢人と紹介される人がいますし)。ちなみに二条臣も出番があるが彼女が演じているのは……

みんなでキャンプの支度!」…きらら本誌で「ひなまるすまいる」を連載していたわたのん先生。この少し前にゆるキャン△がアニメ化決定の告知が出ていたし、ある意味先見の明があると思った。キャンプに行こうと、ニナ先生も交えて盛り上がる棗屋の4人。しかし当日……

【悲報】千矢さん、棗屋に来る前は川で用を足していたことが判明

巻末執筆者コメント

篤見唯子先生の千矢が可愛い…が何度見てもスロスタのたまちゃんと被る(マテ

カバー下コミック

はるみねーしょんの大沖先生という篤見先生に並ぶ大物。\やべぇ/
ごめんなさいをする時は腹を見せるという千矢の謝り方を正そうとする紺と小梅。ノリが完全にはるみねーしょんで、しかしちゃんとアンソロしているところが素晴らしいのだが、ノノの出番がない(´;ω;`)

はるみねーしょん 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
はるみねーしょん 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
posted by shaitama- at 15:56埼玉 ☔Comment(0)書籍

やさしい新説死霊術──新しき作品に受け継がれるもの

🎄本記事はまんがタイムきらら Advent Calendar 2018 24日目の記事です🎄

まんがタイムきららミラクに短期間連載された後に、まんがタイムきらら本誌で人気作品となっている鴻巣覚先生の「がんくつ荘の不夜城さん」。作者様の漫画家としての実体験をもとに、現実のいろいろな設定や出来事を交えてこれでもかと全力でエロい…いや性的に可愛らしいキャラがたくさん出てくる作品である。きららベース連載中、また単行本2巻絶賛発売中です。

このがんくつ荘の不夜城さんの前に、作者様が連載されていたのが「やさしい新説死霊術」。まんがタイムきららミラクで2015年6月号~8月号ゲスト掲載、同年9月号~2016年11月号にわたって連載され、単行本2巻まで出ている。なお最終話が掲載された2016年11月号では「幸腹グラフィティ」「ハートオブtheガール」も一緒に完結している。

きららミラクに多くあった、ファンタジーを舞台とした4コマ漫画。魔術師たちの集まる都市『トネリコ』。そこで魔術師見習いとして魔術学府「アカデミー」で様々な魔術の勉強・修行に明け暮れるリンリたちの日常、魔術師としての活躍を描く。
可愛いキャラクター、丹念に描き込まれた絵、テンポよく進むストーリー、時折挟まれるギャグ描写など、すっきりと読み進められる内容であるが、意外と設定も事細かく練り込まれている。尊いキャラ同士の掛け合いや百合描写ももちろんあります。

惜しくも最後は駆け足になったが“やさしい新説死霊術”のタイトルも回収できており、それなりきれいに完結を迎えている。
ごめんミラク購読しだしたのこの作品が終盤に差し掛かってからなんだ🙇もっと早く出会っていれば応援出来たと思う。



この記事にも書かれているのだが、がんくつ荘の不夜城さんに白仙あかりという女の子が登場するが、実はやさしい新説死霊術にも白閃のアカリという魔術師が登場する(一コマだけだがちゃんとキャラも描かれている。本作がもっと続けば出番もあったのかもしれない)。
ほぼ同一人物ですが、ファンサービスというか、前作を知っている方がニヤリとしてくれたらいいかなくらいのお遊びです」とインタビュー内で作者様は語っているが、がんくつ荘の不夜城さんにはやさしい新説死霊術で登場したキャラを思わせる登場人物が何人かいるのである。そういえば教師を担当しているダスク先生は(性格がまるきし違うとか娘がいるとかを除けば)その容貌はまさに不夜城よどみ先生っぽいし、作中重要な役割を担って登場するメイことメイプリーフ・ラグはあの担当編集羊ヶ丘眠っぽい。他にも探せば両作品に共通するいろいろな発見があり、両作品を読み比べてみるのも面白いと思う。

作者様は上記のインタビュー記事で「その前作が正直なところ売れなかったので」と述べた上で、担当編集からアドバイスを受けてがんくつ荘の不夜城さんをゲスト読切で掲載したところ、定期連載化され、きららミラク休刊に際してきらら本誌への移籍を果たし継続連載されている。
やさしい新説死霊術はもちろんリンリたちメインキャラの活躍も重要だが、ダスク先生やメイたちを新たな物語の漫画家や編集者たちに重ね合わせてみると、あらためて両作品の関係の深さや共通点が浮かび上がる。そしてがんくつ荘の不夜城さんが単純に性的に特化しているだけでなく、実は色々な性格や意図を持ち合わせた作品であり、前作が果たせなかった長期連載の夢を叶えようとしているともいえる(2巻乙突破したばかりなのでまだなんともいえないが)。

やさしい新説死霊術 (1) (まんがタイムKRコミックス)
やさしい新説死霊術 (1) (まんがタイムKRコミックス)やさしい新説死霊術 (2) (まんがタイムKRコミックス)
やさしい新説死霊術 (2) (まんがタイムKRコミックス)
posted by shaitama- at 22:03埼玉 ☔Comment(0)書籍

あらゆる日常の一コマがアトリエ──相崎うたうの「どうして私が美術科に!?」──

🎄本記事はまんがタイムきらら Advent Calendar 2017 16日目の記事です🎄

【注意】本記事は「きららファンタジア」のネタバレも含んでいます。ご注意ください。

何度も発生する通信断にも、パケ死の危険にもめげずにも今日もきららファンタジア三昧。
このゲームの中に、あるモブの女の子が登場するが、キャラクターのデザイン担当はまんがタイムきららMAXで「夢見るプリマ・ガール!」を連載する昆布わかめ先生である。そういやどこかで見たような懐かしい絵柄は……と思ってはいたが、可愛いキャラだった。

きららファンタジアの公式Twitterがその昆布先生をフォローしていたが、実はきららファンタジアのスタッフ意外にも何人かフォローしている、きららの執筆陣の先生方がいる。
本記事で紹介する「どうして私が美術科に!?」の相崎うたう先生もフォローされている。
ということは桃音や黄奈子やすいにゃんのようなキャラが本編に登場して──

単行本1巻発売前後に、「どうして私が美術科に!? フォロー& RTキャンペーン」が行われ、対象のツイートをリツイートされた数によって描き下ろしツイッターアイコンから、単行本未収録の描き下ろし漫画の公開まで様々な特典が受けられる、最近のまんがタイムきららにしては珍しい取り組みで宣伝されていた。
実際、本作が連載されているまんがタイムきららMAXの中でも、「どうして私が美術科に!?」の掲載順位は良い。ただもうすぐ単行本2巻が出せる分の話数が溜まるので、連載継続になるのかどうか非常に気になるところである。

まんがタイムきらら公式Webでの、単行本1巻の紹介文はというと

願書の提出ミスにより、間違って美術科に入学してしまった酒井桃音。 当然のごとく居残り三昧な毎日ですが、仲間がいればそれでも楽しい!力を合わせて目指せ進級&卒業!きららの次世代を代表する、女の子の尊さがいっぱい詰まった初コミックスです。

素直になれないツンデレ娘のつみきさんと、史上最強の朴念仁の伊御さん。誰から見てもすごくイイカンジの二人だけど、まだまだ恋は始まらない!? 読めばゴロゴロすること間違いなし! 次世代ツンデレヒロイン登場の初コミックスです!

異識先生「あっちこっち」1巻の紹介文とよく似ている気がするが気にしないでおこう。

さて、きららの漫画はひだまりスケッチやGAなど美術が題材な作品は多いが、その中でも異彩を放つ本作の特徴は主に3つに分けられると思う。

1.あり得ない現実とそれを克服しようとする物語

普通科と間違えて美術科に入ってしまった酒井桃音。いつも課題をこなすために“美術X室”に居残る彼女、一緒に居残る他の仲間たちを交え、少し悲哀が入りながらもくすりと笑えるエピソードがテンポよく展開される。
本作の登場人物の名字は著名な日本画家から取っていると思われるが、桃音も含め他の仲間たちの絵もどこかセンスが独特、悪くいうと変である。
しかし色々とやり取りしていく中で、時には友情を育み、紆余曲折ありながら少しずつではあるが彼女達は何かが変わりつつあるように思える。何か、というと絵とかの美術センスではないと思うが……
その答えが明かされるのはもうすぐ、いやまだ先になると思う。

2.登場キャラクター間で繰り広げられる百合関係

桃音が最初に美術X室で出会った竹内黄奈子。どこかけだるそうで淡白ながら桃音をしっかり受け止め、だんだんと心を開いていく。黄奈子の生来の不器用もあいまって、他の漫画の百合とは異なり時にはすれ違ったり、喧嘩したりして決して順調な関係ではない。桃音も桃音でどうにもならなくなるとテンパる癖がある。
同じ美術X室の仲間である河鍋蒼と浦上紫苑の関係を見てみると、両方とも強烈な個性をもちながら時には寄り添い、やはりすれ違いを見せながらとりあえず騒がしくも上手くやっているといえる。

先のきららファンタジアの女の子の出る章は、やはりこの作品に蔓延する強烈な百合話がメインだと思ったが、本作に流れる百合はある意味現実的ともいえる、読んでいてえも言われぬ感覚にさせてくれる。
(多分単行本2巻に収録されるであろう)文化祭の回は必見。

3.ネタの力強さ

この作品が新規連載化したとき、このコマを見て只者ではないオーラを感じた。
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他の例を上げていくときりがないが、ただの美術漫画ではなく、随所に色々と強烈な個性を発揮している菱川翠玉(通称すいにゃん)、桃音ら1-7の担任である岡本玄恵(通称くろえ)先生、他にも色々と登場するキャラクターが逐一面白い行動をしている。桃音以外にもこうした魅力あるキャラを見ているだけでも本作は読むべきといえる。
普通に読み進めても強烈なコマやネタがいきなり登場するので油断ができない。

本作はまんがタイムきららMAXの2016年3月号から5月号までゲスト連載、同年6月号より連載開始されている。
この前後に連載が始まっている他の作品も面白いので、別な機会にまた取り上げてみたい。

あと、この黄奈子のセンスがとても好きである。Xで始まる言葉をチーム名にしようということで彼女が考えたのが……
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どうして私が美術科に!? 1巻 (まんがタイムKRコミックス) - 夢見るプリマ・ガール!  (1) (まんがタイムKRコミックス) -
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posted by shaitama- at 21:48埼玉 ☔Comment(0)書籍